観光業者の風評損害の差引率20%の見直しについて

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時事問題_アイコン東京都文京区で弁護士をしている小倉です。

 

東京電力が、風評損害のうち20%は賠償しない、という当初の方針を見直すようです。

新聞報道によると、10月14日、福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の総会で、東京電力は、福島県の観光業者に対する損害賠償について、差引率を縮小する、との意向を示したそうです。

 

東京電力2011年9月23日発表のプレスリリース2011年によると、風評損害の賠償額は、貢献利益に減収率から20%を差し引いた率を乗じた額とする、とあります(同プレスリリース参考2)。

 

原発事故以外の要因による減収もあるから、20%は除外する、というのだそうです。

 

しかし、原発事故以外の要因が20%もあるでしょうか?

 

観光客が減り、売上げが落ちたのは、原発事故による放射線汚染を国民が警戒したからではないでしょうか。

 

売上げ減少は、全部、東京電力に責任があると考えるべきではないでしょうか。

 

群馬弁護団も、一律に20%を差し引くのは不合理である、と先月から主張していました。

 

これらを受けて、東京電力は、福島県の観光業者の損害の差引率を再検討することにしたようです。

 

おそらく10%程度になるのではないかと思いますが、それでもずいぶん違ってくるでしょう。

 

今回は、福島県の観光業者の損害についてでしたが、群馬県、茨城県、栃木県らの損害賠償額についても、差引率の見直しが行われる可能性が高いです。

 

東京電力が勝手に決めたルールに従うこと自体、正当な賠償額とはいえませんから。

 

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