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成年後見における意思決定支援のあり方

成年後見、福祉

昨日、第一東京弁護士会で成年後見研修会を受講してきました。
その中で、成年後見における意思決定支援のあり方について、田中富美子先生から講義がありました。
これまでは、本人が意思決定できない場合には、成年後見人としては本人にとって客観的合理的であると考えられる方策をとるべきだと考えられてきました(客観的最善の利益)。

ところが、今後は本人の希望や価値観等を最大限考慮した方策をとるべきだと成年後見制度のあり方が変わってきたというのです(主観的最善の利益)。
不合理にみえる意思決定でも、合理的な判断を押しつけず、決して否定せずに、本人にそのリスクを伝えるにとどめるというのです。

これは平成30年3月に大阪意思決定支援研究会発表の「意思決定支援を踏まえた成年後見等の事務に関するガイドライン」に基づいており、本人の意向や嗜好を最大限に尊重することを目指しているそうなのです。

もともと平成12年に成年後見制度がつくられたときには、本人を保護するというより、本人の自己決定権を尊重するという制度趣旨でした。
これはイギリスの成年後見制度にならっているそうです。

しかし、判断能力が減退して意思決定を十分に行えない人の石をどこまで尊重することが正しいのかについては疑問がわきます。
判断能力の乏しい状況で十分正しい判断ができずにいる状況を肯定して、かえって本人の利益を損ねないか心配になります。
例えば、本人が身体能力が衰えて施設入所しなければ危険な状況なのに本人が絶対に自宅に居続けたいと頑固に主張しているとき、成年後見人として本当に本人のためになっているのか疑問です。
本人の意思を尊重するというより、みすみす本人が不利益を受けるのを野放しにしていることにならないか心配になります。

日本では本人の意思決定支援という考え方は、なじむにはまだ時間がかかりそうに感じました。
(小倉)


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